( 123799 )  2024/01/27 13:34:55  
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千葉ロッテの佐々木朗希がキャンプイン直前に契約合意(写真・AP/アフロ) 

 

契約がまとまらず越年していた千葉ロッテの佐々木朗希(22)が26日、契約合意に達した。ロッテが発表、佐々木も自身のインスタに「SIGNED」(合意)と書かれた球団のビジュアル写真を投稿した。詳しい合意内容は明らかになっていないが、焦点は、佐々木サイドが求めていたとされる今オフのポスティングによるメジャー移籍を球団が認めたかどうか。かつてロッテでGMを務めた巨人OBで元ヤクルト、西武監督の広岡達朗氏は、「あれだけ球団に大事に育ててもらいながら一体何を考えているんだ。最近では一番腹立たしい問題」と激怒した。 

 

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 12球団でただ一人未更改だった佐々木がキャンプインを前に契約合意に達した。近日中に契約更改会見が行われる予定だそうだが、詳しい合意内容は明らかになっていない。契約更改が越年し、自費キャンプも辞さぬほど徹底抗戦した争点は、佐々木が希望するメジャー挑戦の時期の確約だとされている。 

 球団サイドは、佐々木のメジャー挑戦の夢を後押しする方針を明言しているが、問題は、そのタイミング。佐々木は今オフのポスティングによる移籍を要望、その確約を今回の契約更改で得ようとしたと推測されている。一方のロッテサイドは、最低でも、もう1年待って2025年オフのポスティングを求めたのだろう。 

 どちらが歩み寄っての合意となったのかは不明だが、越年してまで、もめにもめた契約更改問題に怒りを覚えたのが球界大御所の広岡氏だ。 

「佐々木朗希という選手は一体何を考えているんだ。最近の球界の出来事で一番腹立たしい問題だよ。どんな内容で合意したか知らんが、もし佐々木の言い分を球団が全面的に聞いたのであれば大問題。ワガママを許しちゃいかん」 

 メジャーでは海外の有力選手の青田買いを防ぐために労使協定により16歳以上25歳未満でプロ経験が6年に満たない選手との契約に国際FAルールを定めた。球団ごとにボーナスプール枠が475万ドル(約7億円)から575万ドル(約8億5000万円)の間で設けられ、それ以上の契約金を支払うことができない。いわゆる25歳ルール。今年5年目の佐々木がポスティングで移籍しても、そのルールが適用され、球団が得るポスティングフィーは、わずか数千万円程度。 

 オリックスの山本由伸は、ドジャースと12年3億2500万ドル(約481億円)の大型契約を結び、オリックスに入るポスティングフィーは5062万5000ドル(約75億円)にもなった。昨年のWBCで評価をあげた佐々木に早くもドジャースやカブスなどが関心を寄せており、その契約金額は、最低でも1億ドル(148億円)は下らないと見られている。あと1年待てば、ロッテに30億円近いリターンが出る。球団の経営上、そこは譲れない一線だろう。 

 広岡氏が怒りの声を大にするのは、佐々木のこの4年間のチーム貢献度だ。 

「ろくに投げていないじゃないか。ロッテに大事に育ててもらって無理はせず、ほとんどが中6日以上で1年間、ローテ―を守ったこともない。まず体ができていない。こんな状況でメジャーにいって中4日で回ったらすぐに壊れますよ。球団にとってポスティングフィーという実入りの問題も大きいかもしれないが、ストップをかけているのは、そのあたりを見極めているからだろう。現状のルールでは、海外FA権を取るまでは、メジャーに行く行かないを決めるのは本人ではなく球団。そこのところを履き違えてはいかんよ。考え方が甘い」 

 

 

 佐々木は入団1年目は体作りに専念して1軍で1試合も投げておらず、プロ4年だが、実働は3年でイニング数は計283回3分の2だ。3年目の2022年に史上最年少で完全試合を達成するインパクトを与えたが、年間の最多投球回は、その年の129回3分の1で、昨年は、7月に左脇腹を痛めて戦列を離れ、後半戦は投げることができず、7勝4敗、防御率1.78に終わっている。ソフトバンクとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージの第1戦に先発したが、3イニングで降板した。2桁勝利も一度もない。 

 同じくポスティングでメジャーに挑戦した松坂大輔は661回3分の1、ダルビッシュ有は652回3分の1も投げていることを考えると貢献度では大きく下回る。大谷も、入団5年でメジャー挑戦して25歳ルールにひっかかったが、投手としては517回3分の2を投げ、3年連続で2桁勝利をあげ、打者としても、1170打席に立っていて二刀流でチームに貢献した。移籍の際に批判的な声は出なかった。 

「球団も得るものが大きいので海外FAの前にポスティングで出すという傾向が目立つ。これからも同じケースが増えるだろう。佐々木朗希にしても素材は素晴らしい。そういう日本の財産、宝がどんどんアメリカに流れていくことを看過すべきではない。日本のプロ野球は、メジャーの育成組織ではないのだ。今回の佐々木の件で裏で誰が動いているのか知らないが、入団の際にメジャー移籍に関する条件をつけるような事態が発生していれば、それも問題。コミッショナーが存在感を示してルールを守ることを徹底させるべきだと思う」 

 広岡氏は、今回の騒動とその合意の中身が今後のプロ野球界に与える影響を危惧した。契約更改会見で佐々木は何を語るのだろうか? 

(文責・駒沢悟/スポーツライター) 

 

 

 
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