( 123773 ) 2023/12/30 16:10:25 0 00 Bloomberg
(ブルームバーグ): ウォール街の中国強気派にとって、2023年は忘れるべき年だ。
昨年のこの時期、世界の大手投資銀行はほぼ一様に中国市場に対して楽観的な見方を示していたが、MSCIの中国株指数は23年に入り14%を超える下落だ。
中国当局は今、住宅不況を食い止め、より広範な経済を対象に財政支援を拡大する取り組みを強化しており、24年は好転するとの期待が再び高まっている。ただ、また同じ過ちを繰り返す恐れもあり、今回の見通しはかなり控えめだ。
ラザード・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、スティーブ・レフォード氏は「12カ月間、時間が止まっているようなものだが、人々の認識は変わった。1年前に楽観的だったのは間違いだった。そして今、悲観的になることも間違いかもしれない」と話す。
1年前との違い何だろうか。ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーは22年終盤、中国政府が厳格な新型コロナウイルス規制を廃止したことで、MSCI中国指数の年間上昇率が少なくとも10%に達すると予想。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査によると、力強い中国経済再開を期待するファンドが中国株へのエクスポージャー拡大を急いでいた。
過小評価と過大評価
だが、現実は厳しかった。米国株や日本株、インド株が今年値上がり。一方で、中国株は低迷し、主要市場の中で世界最悪のパフォーマンスを記録。中国本土株は12月、5カ月連続の外国勢売り越しとなりそうだ。
今にして思えば、ウォール街の誤った楽観主義は、消費低迷から住宅問題の長期化、地政学的緊張に至るまで、逆風の強さを過小評価したことと、借入金頼みの経済を財政出動で支援する当局の意向を過大評価したことに起因していたとみられる。
ただ、同時に言えるのは、政策決定がますます不透明で予測不可能になっている市場を乗り切ることの難しさだ。
年初の経済再開に伴う株高が頓挫し、バズーカ砲のような景気刺激策への期待がしぼむにつれ、中国強気派の一部は新たな現実に適応し始めた。真っ先に行動を起こしたのはJPモルガンだ。年央ごろに見通しを引き下げ、モルガン・スタンレーも8月に中国株の投資判断を「イコールウエート」に引き下げた。
ゴールドマンは香港に上場している中国株の投資判断を「ニュートラル」に引き下げるのを11月まで待ったが、中国本土株は「オーバーウエート」に維持している。
JPモルガンのアジア・中国株チーフストラテジスト、ウェンディ・リュウ氏は「4月にリスクオンを呼びかけたが、残念ながらうまくいかず、間違いだった。5月以降、われわれは成長の下振れに対してより警戒するようになった」と述べた。強力な景気刺激策への期待が裏切られたという。
モルガン・スタンレーのアジア・新興国市場株チーフストラテジスト、ジョナサン・ガーナー氏は、21年初頭からほとんどの期間、同行は「中国に対して事実上慎重」だと語った。
ゴールドマンはコメント要請に応じなかった。
原題:Wall Street’s China Bulls Seek Redemption After a Humbling Year (抜粋)
--取材協力:Iris Ouyang、Tassia Sipahutar、April Ma.
(c)2023 Bloomberg L.P.
John Cheng
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