( 123688 ) 2023/11/16 21:17:55 0 00 総選挙の争点として雇用政策などいかがでしょうか?~安倍政権のやろうとしていること https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f4dff522fb0fab6979a306a515bf48795173bb4e 何だかよくわからない理由ではありますが、安倍総理が衆議院の解散を決意しましたね。 そのおかげで派遣法改正案が吹っ飛び、廃案となりました(やったぜ(^o^)b)。 これについて「2度廃案になった法案は呪われているので成立しない」という説もありますが、科学的な裏付けもありませんので、もし現政権が継続すればもう1回出てくる可能性は極めて高いと思います。 なので、「やったぜ(^o^)b」と喜んでいる場合ではありませんが、嬉しいことは嬉しいものであります。 さて、総選挙を前にした現時点で、安倍政権は、今後、雇用分野で何をやろうとしているのか、少しだけ見ていきたいと思います。 総選挙での投票のご参考になりますでしょうか。 派遣法の改正 廃案となりましたが、政府はこれを諦めたわけではありません。 この法案の問題点は正社員が減り、派遣社員が激増するという点です。 【今、提出されている派遣法改正案が成立すると派遣社員が激増する理由】 派遣社員は待遇が低いままであり、賃金も上昇カーブを描きません。 派遣社員を増やせば、少子化も加速し、日本社会の持続性は失われることになるでしょう。 政府は、派遣社員は増えないと説明しますが、理屈上増えるほかありません。実際、ドイツでは激増しました。 そもそも、廃案が決まったとき派遣業界が「残念」として、市場拡大のチャンスが潰えたことに落胆していたというのですから、何よりもそのことが全てを物語っていますね(報道:与党、派遣法改正を断念 人材派遣会社など「非常に残念」) 【ご参考リンク】 ・今でも世界最悪の日本の派遣労働 -安倍政権が狙うさらなる改悪で生涯不安定・低賃金・正社員雇用は不要に ・一生ハケンは社会の時限爆弾 ・パソナ竹中平蔵氏肝いりの労働者派遣法の規制緩和を許していいのか 「残業代ゼロ」法案 来年の通常国会で出てくるだろうと言われているのがこれです。「残業代ゼロ」法案。 現在、労働政策審議会というところで議論されています。 その全容がそろそろ明らかになってくるところまで差し迫っています。 現時点では1000万円以上の賃金の労働者について、労働時間規制(時間外、深夜、休日の割増賃金)を取っ払おうとしています。 そして、この「1000万円」という条件は、将来必ず下げられますので、「俺、関係ない」では済まされません。 【年収1000万円は長時間労働地獄へのカウントダウンの始まり】 政府はこの制度の導入の理由として、成果に応じた報酬を支払うためだと言い、そのために労働時間と賃金のリンクを外すと言っています。 しかし、これは真っ赤なウソです。 現行法でも成果に応じた報酬を払うことは可能ですし、短い時間で成果を上げた労働者に賃金を満額払うこともできます。 法律も労働者も、それを制限していません。払わないのは企業側の問題に過ぎません。 これを、あたかも現行法ではできないかのうように喧伝しているところが、大ウソもいいところです。 【君はブラック企業が成果に応じた報酬を払ってくれると思うか?】 このような制度が導入されれば、結果として長時間労働が加速することは必定で、過労死・過労自死が増えてしまうでしょう。 労働法制でよくある、「初めは小さく生み、その後大きく育てる」という常套手段からすれば、1000万円というのは入り口で、あっという間にほとんどの労働者は長時間労働地獄へ落とされることになります。 【参考リンク】 ・「残業代ゼロ」を考える~ブラック企業撲滅どころか、ブラック企業に栄養を与える世紀の愚策 ・残業代の存在意義~それでも残業代ゼロ法は必要ですか?~ 解雇の規制緩和 そして、次にこれです。解雇規制の緩和。 これを実現して、クビを切りやすい社会を目指そうとしています。 しかし、日本における解雇規制は「解雇権濫用法理」と言われるものです(労働契約法16条)。 したがって、「権利濫用」ですので、通常の思考では緩和できないはずなのです(「少しなら濫用してもいいよ」は、あり得ないからです)。 が、産業競争力会議などでは議員たちの間でしばしば話題にのぼっており、これを諦めずに狙っていることがうかがわれます。 一時期、「特区」でこれをやろうと企てましたが失敗しました。 今後も出てくることが予測されます。 解雇の金銭解決制度 解雇の規制緩和ができないとしても、金銭解決制度は狙ってくるでしょう。現在、各会議で検討中です。 金銭解決制度とは、おかしな解雇もお金を払えばその労働者と会社は縁を切ることができるという制度です。 これには、事前型と事後型があります。 さすがに理由もないのに金を払って解雇を正当化する事前型はないだろうと思いたいですが、産業競争力会議の議論を聴いている限り、全く油断できません。 解雇が無効となった場合に、金銭で契約関係を解消するという事後型もありますが、使用者が無効となる解雇をしておきながら金銭で契約関係を解消する選択肢を持つことは、やはり問題と言えるでしょう。 安心して働いて、普通に生活できる、そういう社会を まぁ、いろいろ言われている解散ではありますが、せっかく選挙をする機会があるのですから、働く人が安心して働き、普通に生活できる、そういう社会を目指す候補者が多く当選すればいいですね。 記事に関する報告 佐々木亮 弁護士・日本労働弁護団幹事長 弁護士(東京弁護士会)。旬報法律事務所所属。日本労働弁護団幹事長(2022年11月に就任しました)。ブラック企業被害対策弁護団顧問(2021年11月に代表退任しました)。民事事件を中心に仕事をしています。労働事件は労働者側のみ。労働組合の顧問もやってますので、気軽にご相談ください! ここでは、労働問題に絡んだニュースや、一番身近な法律問題である「労働」について、できるだけ分かりやすく解説していきます!2021年3月、KADOKAWAから「武器としての労働法」を出版しました。 |
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